ハンチントンという病名を知ったのは、いまから約10年前に友達のマイクからの衝撃的な報告によるものでした。
マイクと彼の2つ上のお姉さんのへザーは、高校を卒業するちょっと前から自分たちに何か変化が起きていることに気付いたのです。 物覚えが悪くなったり、手足に震えを感じたり・・・と症状は様々です。
ハンチントン病が発症すると、15年から20年で亡くなるケースが多く、今現在は完治させるための治療法がありません。
愛する人が少しずつ少しずつ消えていってしまう・・・ そんな風な悲しい病気です。
高校を卒業してからマイクは、コミュニティーカレッジに入って勉強しようと試みましたが、どうしても講義に集中できず結局中退という結果になりました。 その後、いろいろな職に就こうとしましたが殆どの職場から解雇され、長い間ずっと売店でコーラを売るのが彼の仕事だったのです。
マイク自身も彼の周りにいる人たちも、彼とへザーがハンチントン病に侵されていることを全く知らなかったので、「マイクってどうして定職に就けないんだろうねぇ~?」と話していたのを覚えています。
しかし、彼の集中力が持続しないことや、物をよく落としたり、運転が上手でなかったことには、医学的な理由があったのです。
昨年糖尿病を患って天国へ行ってしまったマイクのお母さん、パットは病気が悪化していく息子と娘のことが心配で仕方がなかったことでしょう。 マイクの妹のケリーが受けている心の打撃は相当なものです。 彼らのお父さんは骨のガンで10年以上前に先立っているので赤ちゃんを産んだばかりの彼女は、自分の息子を溺愛するはずだった両親がいないことを本当に寂しく思っていることでしょう。 そして、残りの家族であるお姉さん(へザー)とお兄さん(マイク)もこの病気に侵されているので、短い余命を大切にしながら日々生きている状態です。
私とブンちゃんにとって、マイクとへザーは青春の一ページを語るのには欠かせない存在です。
友達のへザーとホリーの紹介で初めてマイクと会ったのは、1998年の夏でした。
高校留学のためにサンディエゴに到着したばかりの私を、新学期が始まる前の夏休みにいろんなところに連れて行ってってくれたのが、マイク、へザー、ホリーの3人でした。
マイクが率いる彼の週末仲間は10人以上の大きなグループで、その中の一人だったのが私の旦那様のブンちゃんなのです。 マイクとブンちゃんは高校一年生のときから4年間一緒に学校まで歩いて通った友達。
(真ん中の一番背の高い人がマイクです。この写真見て、全員分かる人もいるだろうな~~。秘蔵ショットです。)
1989年のハイスクール卒業式にて。(左から、ポール、ブン、マイク、ドンちゃん)
そしてブンちゃんは、お姉さんのへザーにひそかに恋していた時期もありました。
ブンちゃんのハイスクールのプロムのお相手はヘザー。 ハイスクール最後の思い出として、憧れの存在であるヘザーと一緒に行けてさぞかし嬉しかったんだろうな~。
1989年 プロムにて
ブンちゃんが、必須である体育の授業の選択で、定員オーバーのテニスのクラスをとることが出来ず、エアロビクスのクラスになってしまった高校1年生の春。 同じクラスにいたヘザーに「ディペッシュモード」とあだ名をつけられたのが出会いのきっかけだったそうです。
1990年の私の卒業式にて。
私にとって高校留学が楽しい思い出になったのは、マイクの家族が大きく影響しています。ホームステイグループのコーディネーターだったマイクのお母さんは、片言の英語で話す留学生の扱いが本当に上手でした。 私自身が英語が上手に話せなくてなかなか友達ができなかったときも、学校の外でハングアウトできるマイクのグループがいたから寂しい留学生活を送ることもなかったし、何よりもブンちゃんとの出会いもなかったことでしょう。
あれから20年経ちました。 最近は、子供を交えて集まるので、月日が経つ速さをしみじみと感じています。
ヘザーはマイクよりも病気の悪化がひどく、久しぶりに去年会ったときは彼女がヘザーであることが分からなかったほどでした。
マイクは、本当に限られた時間の中で、奥様のミシェルと最愛の息子、アダム君を大切に育てています。 身体の不自由さを乗り越えて、本当に素晴らしいパパぶりを見せてくれています。
ハンチントン病は、この20年で原因や対処法の研究がかなり進んだそうです。 それでもまだまだ未知の部分が多く、殆どの人たちが働き盛りの30~40代に病気がもっとも進展してしまうのです。
マイクの妹ケリーは、この病気の究明のための募金活動をしています。 微力ながら私たちも応援したくて、私たちの大切な友達についてこのブログ記事を書いてみました。
3月20日のハンチントン病撲滅運動のイベント用に彼女が募っている募金のサイトはここです。
とてもパーソナルなことですが、この投稿を読んでくださった皆様に心から感謝いたします。
Thank you.
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